介護のプロ道場、今日のお題は
「食事をするメカニズム」です。
それでは問題です!
空腹・満腹の中枢は視床下部にある。
正解は◯×どちらでしょう?
正解は、◯ でした!
【今日の解説 食事をするメカニズム】
空腹や満腹を感じ、それを調整する中枢は、脳の視床下部というところにあります。
また、食事を摂る動作には大脳も関わっています。
それでは、食事に関するしくみをそれぞれお話していきますね。
1)空腹・食欲を感じるしくみ
空腹を感じるしくみには、胃の粘膜から分泌される「グレリン」が関係しているということがわかってきました。
胃が空になるとグレリンが増えて、視床下部にある摂食中枢を刺激して空腹を感じるようです。
また、食欲は空腹時に、視覚、聴覚、嗅覚などの刺激や、食物に関する想いが摂食中枢を刺激し、食欲を生み出すとも考えられています。
2)満腹を感じるしくみ
食事が胃にたまることで、胃に分布している迷走神経が刺激されること、また血糖値が上昇し、脳の視床下部にある満腹中枢に伝わり、摂食中枢を抑えることで食事を摂ることを止めます。
さらに、食後しばらく経ち、脂肪細胞に脂肪が吸収されると、レプチンというホルモンが分泌されて、満腹中枢を刺激することもわかってきました。
3)のどが乾くしくみ
体内の水分が少なくなったり、塩分を多い物を食べたりすると、体液が濃くなります。それが脳の視床下部にある口渇中枢が刺激され、のどの渇きを感じます。
また、口呼吸や、唾液が少なくなり、口の中だけが乾燥することで、口の乾きも感じます。
4)食べるしくみ
普段は、無意識に行っている「食べる」動作=摂食行動には、複数の要素を組み合わせることで成立します。
まず、視覚や嗅覚、触覚などの感覚と、過去の記憶を合わせることで、食物の形や量、質などを認識して、食べ方を考えたり、唾液の分泌を促したりします。そして、手の機能を使い、道具を使って、食べ物を口まで運びます。
食べ物が口に入ると、硬さ、温度や、味覚は三叉神経を通して大脳に伝わります。瞬時に過去の記憶と合わせながら、顎や舌を動かし、咀嚼します。
食べ物の塊は、舌でのどに送られると、軟口蓋(なんこうがい)が上がり、鼻への逆流を防ぎながら、喉頭蓋(こうとうがい)が気管を塞いで食道に食べ物の塊を送ります。これが嚥下反射ですね。
そして胃に入って消化され、小腸でさらに細かくなって栄養素が吸収されます。
これらのしくみを当てはめて、例えば、食物を認識できない、利き手が麻痺になってしまった、歯がない、噛む力が弱い、飲み込めないなど、どこの働きがうまくいっていないのかを把握することで、それに対するアプローチができると思います。